TATSURO KISHIMOTO

10/4 (Sat)-11/1 (Sat), 2025
Opening hours: 12:00-19:00 (Wed-Sat)
Closed on Sun, Mon, Tue and National Holidays
Reception: Saturday, October 4, 17:00-19:00


伊阪 柊 (Shu Isaka)

1990年生まれ、東京藝術大学大学院後期博士課程修了。
映像の撮影を主軸としたフィールドワークと、そのフィールドワークの準備・調整のための仮想空間の制作との影響関係を交絡させる拡張された意味でのデジタル・ツインによって、行為主体としての作家とそのフィールドとの相互作用においてどのように出来事が起こり / 起こし、巻き込み / 巻き込まれるのか、そのプロセスを記録 / 表現する。

主な展示として、
個展『Polyfold Quirk』(2023年、児玉画廊|天王洲、東京) /『Méconnaissance “Tephra” 無為 | 非知「テフラ」』(2023年、 Token Art Center、東京)、グループ展『ICC アニュアル 2023 "ものごとのかたち"』(2023年、NTT InterCommunication Center、東京) /『Open Space 2021 “New Flatland”』(2021年、NTT InterCommunication Center、東京) /『DXP (デジタル・トランスフォーメーション・プラネット) ─次のインターフェースへ』(2023年、金沢21世紀美術館、石川) アーティストコレクティブ MANTLE (Shu Isaka + Soshi Nakamura) として参加。



アーティストステートメント

展示空間には複数の造形物『藏骼』が点在しています。これは名詞に道具、手段、随伴、場所、時間幅、変身、メタファー、 主客反転等の多機能を付与する、認識の中に確実に存在しつつも謎の多い文法範疇の一つ “造格” の実体化を試みたものです。 これは古代インド - ヨーロッパ語族にかつて存在していましたが他の格との融合によって消失し、現代ではスラヴ諸語等に見られます。展示空間のこれらは、言うなればカメラ三脚の藏骼であり、石の藏骼であり、書物の藏骼であり、ウェブ上のマップの藏骼であり、小道具の藏骼であり、火砕流堆積物の藏骼であり... あらゆるフィールドの前後を通して関わる物体群は、不確かなフィールドを閉じ込め、維持するための道具として使用されています。

藏骼はアドホックに空間に機能を付与し、彷徨える意思 (非) 決定者を誘導します。その1つに、本展において上映されるリアルタイムシネマ『CeCeCe∵TOKAMAKOM』は、常時「藏殻」の一部が読みとったデータに反応しつつ状況が進んでいきます。当映像の物語を述べるとするなら、仮主体「脳天球 (Cerebral Celestial Cephalon)」がとある地熱渓谷を測量しつつ、 地球内部から染み出るエネルギーと宇宙空間から降り注ぐエネルギーの拮抗状況の中、その地域に存在する「迷惑施設」やステークホルダーからの要望の対処に悩みつつ、決定にまで至る冗長なシークエンス=時間幅を描きます。

道具によって主体および空間に作用をもたらす事、それは例えば石器から核融合炉に至るまで人類史において連綿と続けられてきたように思える1つの成功譚であり壮大な失敗譚かもしれません。本展示においては、フィールドに先立つ道具と共にいることで造り出す状況と、仮想上の情報空間が、シミュレーションという機能を越えてそれ独自の時間幅を作り出し、これから臨む “どこか” からの影響が今現在の時間と交絡するような、一種の混線的デジタルツインのもたらすパースペクティブ を提示します。あわよくば、この特異なパースペクティブによって、期待の経済と結びついた一方通行的な閉じた技術への投企が行われる社会ではない、開かれた道具が作用する技術社会のフィールドへのリアリティを逆照射的に浮かび上がらせたいと考えています。

Installation View

Works